目次
はじめに
テト(Tết)とは、ベトナムの伝統的な新年を祝う祝日で、旧正月を指します。連休期間は固定しておらず、労働傷病兵社会省が検討し、政府へ提出され10月中旬に決定・発表されます。2024年は2月8日から14日まで。年間の祝日が約12日ほどのベトナムの人々にとって、この期間は家族が一堂に会する大切な連休であり、親戚縁者が故郷に集まり、共に過ごすことが伝統です。今回は、経済活動が活発になるこの連休に関するお金の話題をお届けします。
お歳暮・帰省の際のお土産
1月の中旬になると、街の至る所で縁起の良い赤や金、黄色で装飾されたギフトセットが店頭に登場します。これらは「お歳暮」として、その年にお世話になった人々や会社、帰省時には親戚への贈り物となるものです。日本では会社同士の贈り物が控えめになっていますが、ベトナムでは今もこの習慣が根強く残っており感謝の気持ちを表す手段となっています。
贈り物の定番は、お酒・お菓子の詰め合わせ・コーヒー・茶葉・ナッツ・ドライフルーツ。これに加え、消費者は商品を選ぶ際に「見た目の華やかさ」も重視しています。スーパーでは、目立つ場所に大きなバスケットに盛り付けられたお菓子の詰め合わせが置かれ、高級スーパーやお菓子のメーカーでは、その年の干支をあしらった期間限定の特別な包装で商品をアピールし、売り上げを伸ばしています。
今年のヒットは、約2,300円(40万VND)のギフトセットで、親戚や社員への贈り物としてよく選ばれており、販売開始から2週間で約500万個を売り上げた店もあるそうです。尚、いただいたギフトセットは新年を迎えるまで飾り付けられ、新年が訪れると家族や職場で皆で楽しまれます。
「13ヶ月目の給料」と 「テト賞与」
ベトナムでは、通常の給料とは別に「13ヶ月目の給料」という特別な給料があり、多くの会社がこれを従業員に支払っています。これは、従業員全員に、通常の月給と同じ額がテト前後に支給される制度で、業績に関係なく支給されるため、ボーナスとはまた違った、ベトナム独自の給料形態となります。
また、「旧正月ボーナス」とも呼ばれるテト賞与は、会社の成績などに応じて変わり、通常は月給の1か月分から最大で1年分の給料が支払われます。2024年のテト賞与は、経済の後退の影響で例年より少なくなっており、国営企業の平均は560万VND(約3万3000円)、最も多いのはコンダオ島の観光会社で6,700万VND(約39万円)、最も少ないのは第12地区の公共サービス会社で200万VND(約1万2000円)。海外直接投資(FDI)企業では、約3万8000円から約7万1000円(650万VND〜1200万VND)の範囲でテト賞与が支給されているようです。
日本とは違う、「お年玉」文化
ベトナムにもお年玉があり、南部ではリーシー(Li Xi)・北部ではムントゥオイ(Mừng tuổi)と呼ばれています。お金を入れる「お年玉袋」はコンビニやスーパーで簡単に購入もできますが、企業がオリジナルの物を作成し、自社商品を購入したお客さんへ配布するなど、プロモーションの1つとしても盛んにおこなわれています。
さて、この「お年玉」ですが、渡す対象が日本とは異なっています。ベトナムに赴任している日本人駐在員の場合、自社の部下、自宅のクリーニングスタッフやマンションの警備員・レセプション、近所付き合いのある家庭の子供たち、よく利用するレストランやゴルフ場の従業員など、日頃からお世話になっている人たちへ大体5万VNDから50万VND (約300円から3000円)を新年に渡します。これは感謝の気持ちを示す手軽な方法であり、さまざまなメリットにもなり得る為、お互いの関係を良好に保つために役立ちます。
一方、ベトナムの人々はどうでしょうか。学生のうちは両親や親戚からお年玉をもらえますが、社会人になると、両親へお年玉を渡すようになります。勤務年数が長くなるにつれて、お年玉の金額も増えていくのが一般的だそうで、人によって渡す金額はさまざまですが、テト賞与をそのままお年玉として渡す人もいます。故郷への帰省費用、お土産代、両親や親戚の子供たちへのお年玉などで、賞与はあっという間に使い果たされるそうです。
テト休暇中の労働給与は3倍?!
テト期間において、多くの企業や事業所が約1週間ほどの長期休暇に入りますが、職種によっては営業が続くところもあります。ベトナムの法律では、テト休暇中に労働者が働く場合、通常の給与に加えて手当が支給されます。具体的には、休日出勤に対して、少なくとも日給分の3倍の報酬が義務付けられており、企業によっては従業員のモチベーションを高める為に、これを超える支払いも行われることがあります。しかし、この待遇にもかかわらず、まだ多くの人がテト期間に帰省を選ぶことが一般的で、この期間がベトナムの人々にとって非常に重要なものであることがうかがえます。
まとめ
この他にも、モールではセールが開催され、連休が近づくとネイルサロンやヘアサロンの予約が困難になり(もちろん人気カラーは赤)、年始は縁起が良いとの事で、赤い服を着たり、ゴールドのアクセサリーを購入する傾向があるなど、美容・アパレル・宝飾系でも経済活動が活発になります。其れ故に、盗難や窃盗事件が増加するのもこの時期となっています。
このように、お歳暮や帰省土産・年末のボーナスやお年玉。また、今回はご紹介していませんが、年始をお祝いする際に食べる「おせち」の様な伝統料理など、ベトナムのテトは経済活動が活発になる公的連休であるだけでなく、家族の絆を深め、文化的伝統を大切にする時期でもあります。ただ、ここ最近では、高騰する交通費などの金銭的負担に加え、帰省した際の親戚との付き合いを億劫に感じる人もおり、この時期を敢えて外して帰省する人が少なからず増えてきているそう。このようなシナリオは、どこの国でも同じのようですね。
弊社は2月8日から2月14日までテト休みをいただきます。
休業中にいただきましたお問い合わせ等は、15日より順次ご対応させていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、みなさま良い旧正月をお迎えください。CHÚC MỪNG NĂM MỚI
参照:Tuoi Tre Online・Dân trí・ベトナム労働・傷病兵・社会省