ベトナムは若い世代が非常に多く、人口ピラミッドも日本をはじめとした少子高齢化社会の国々とは真逆で、実際のデータからも特に0-4歳の子供の数が増加しており、これは今後数年間でベビー用品の需要がさらに高まることを示しています。また、経済成長に伴い、中産階級の拡大が進んだ事や、女性の社会進出による家庭の所得増加・乳幼児の増加により、2歳以下の子供がいる家庭は全世帯の約3割を占めています。このような状況下で、日本製品の高品質や安全性に対する需要が拡大しています。
ホーチミンでも中心地に超大型のベビー関係の専門店|Concung(コンクーン)が出店し話題となりました。
ベトナム乳業協会によると、2023年末までにベトナムの子供用粉ミルク市場の規模は約20億ドルに達し、2023年から2028年までの予測複合年間成長率(CAGR)は5.65%になると予想されています。1日に4243人、年間約140万人の新生児が生まれ、この乳児は通常4歳まで粉ミルクに頼り、1人あたり週に0.3kg消費し、年間で合計8万4000トンの需要が発生します。2022年末時点で、ベトナム国内大手乳製品製造会社Vinamilkは、ベトナムの粉ミルクセクターで圧倒的な力を持ち、売り上げは市場の1/4以上を占めており、また、同じく大手ベトナム国内乳製品製造会社Nutifoodは、価格設定・お得なプロモーション活動・臨床的に推奨される子供用粉ミルクとして広く認知されています。
日本製粉ミルクの需要拡大
急激に増加する需要にベトナム国内生産が需要を満たせていないため、外国企業がこの市場の空白を埋める助けとなっています。プレミアム品質を求めるハノイ・ホーチミンを中心とした都市部の中産階級消費者は、日本製品に興味をもち、2023年から過去12か月の間において、日本は最大の粉ミルク輸入国となり、総輸入量の22%を占めています。Shopee・Lazadaといったベトナム最大のオンラインプラットフォームでの販売も注目されており、アボット(Abbott Laboratories・アメリカ)とミード・ジョンソン(Mead Johnson&Company・アメリカ)がそのカテゴリーの主要なメーカーとなっています。ブランド別だと、ShopeeではPediasure・Meiji(日本)・Enfagrowが最も売れており、一方で、LazadaではPediasure・Nutifood ・Growがトップ3の売り上げブランドとなっています。
ベトナム 粉ミルクの主な輸入国
出典:Q&Me Vietnam formula milk market trend
日本製ベビー用品
粉ミルク以外でも、ベトナムで人気のあるベビー用品には、安全性、高品質、機能性、およびデザイン性など様々なポイントにおいて日本製は高く評価されています。
・おむつ 日本のおむつは高い吸収力と快適なフィット感で知られており大人気です。サイズ展開やデザインのバリエーションも重視されており、実際に店舗でも棚の半分以上が日本製です。
・ベビーフード 健康的で安全なベビーフードや離乳食がベトナムのママたちからは重要視されており、日本製の商品は品質と安全性の面で信頼されています。日本語パッケージ、韓国語パッケージが目立ちます。
ベトナムの厳しい規制の状況
このように好調であるベビー用品市場ですが、海外からの輸入においては、ベトナム食品安全庁(VFA)が粉ミルクの輸入について厳しい規制を敷いています。具体的には、輸入に際してはVFAが指定した認証機関による品質検査を通過する必要があります。その他、輸入者はVFAに対して責任を持つとともに、製品ラベルの表記や成分表示などの法規制にも従わなければなりません。近年、ベトナム政府は粉ミルク市場における競争環境の改善に力を入れています。2018年には、粉ミルクの輸入に対する税率が引き上げられ、国内メーカーを保護する措置が取られました。また、同年10月には、ベトナム政府が定めた新たな条例により、乳児に対する不適切な広告宣伝が禁止されました。さらに、2020年に施行された新しい食品衛生法では、外国産の食品にも厳密な審査が行われることになり、より高い品質基準が求められるようになるなど、規制環境の変化がコンスタントにおこなわれています。非常に煩雑でこれらの対応は現地にパートナーがいない状態では対応することは難しくなっています。
このような厳しい規制がひかれながらも、ベトナムのマタニティ・ベビー用品市場は、日本製品の高品質や安全性に対する需要拡大が期待されており、日本企業にとっても非常に重要なマーケットとなっています。日本企業がこの市場に参入することで、市場の成長・発展に貢献すると同時に、自社のブランドイメージの向上を図ることができます。TRY VIETNAMでは、小売業界のニーズに特化したテストマーケティングサービスを提供し、日本企業がベトナム市場での消費者の反応をリアルタイムで把握できるよう支援します。商品の市場適合性評価からプロモーション戦略の策定まで、小売業における市場進出の各段階でサポートを行っております。ぜひお問合せください。
参照:Vietnam Briefing ・ Q&Me