前回【ベトナム市場のインバウンド動向(2025年最新データ)】をご紹介させていただきました。
ベトナム市場は成長性と将来性の両方を兼ね備えたインバウンド市場ではありますが、「実際にどの地域が訪問されているのか」「どのようなルートで旅行しているのか」は、日本側から見えにくいのが現状です。特にベトナム人旅行者は、ビザの取得条件や旅行スタイルの影響から、旅行会社が企画するパッケージツアーを利用するケースが多くなっています。そのため、ツアー内容を分析することで、実際の訪問先や市場の傾向をより正確に把握することが可能です。本記事では、旅行会社のツアー情報をもとに、ベトナム人観光客の訪問エリアとその特徴について整理します。
ベトナム人旅行者の基本動向
ベトナム人旅行者の訪日スタイルは、他国と比較していくつかの特徴があります。まず、団体ツアーの利用が主流であり、旅行会社が設定したルートに沿って移動するケースが多く見られます。また、初めての訪日旅行者が多いことから、「日本らしさ」を効率よく体験できる旅程が好まれる傾向にあります。さらに、SNSの影響も大きく、写真映えする景観や有名観光地を訪れることが重要視されています。こうした背景から、ツアーの構成は「定番観光地+短期間で複数都市を巡る」形が一般的となっています。
2026年春・人気訪問エリア
圧倒的主流ゴールデンルート
ベトナム人観光客にとって最も一般的なのが、東京・富士山周辺・京都・大阪を巡る、いわゆるゴールデンルートです。初めて日本を訪れる旅行者にとって、知名度が高く、観光資源が集約されているこのルートは非常に人気が高く、多くのツアーで採用されています。また、5〜7日程度の短期間で主要都市を効率よく回れる点も、大きな魅力となっています。
例:桜鑑賞の旅(大阪ー京都ー富士山ー東京)
1日目
深夜便にて関西国際空港へ
2日目
午前7時 到着
バスに乗車後、万博記念公園にて桜鑑賞
大阪城(外観のみ)・伝統芸能ショー鑑賞
大阪泊
3日目
京都へ
哲学の道で桜鑑賞・金閣寺
名古屋へ向かい、イオンモールにてショッピング
名古屋泊
4日目
新幹線に乗車 バスに乗り換え
山梨県新倉山浅間公園にて桜鑑賞
天候が良ければ富士山5合目へ・忍野八海
山梨泊
5日目
東京へ
浅草寺・隅田公園にて桜鑑賞
皇居を訪れた後、成田へ
イオンモール成田にてショッピング
成田泊
6日目
午前9:30 成田空港発
なお、本ツアーを販売している大手旅行会社サイゴンツーリストによると、この桜を見るツアーは毎年春の人気商品で、今年も完売しており、料金は観光ビザ取得代などを含めて合計で4400万VND (約26万円/大人 1人)となっています。
拡張ルート・中部・北陸エリア
近年では、ゴールデンルートに加えて、中部・北陸エリアを組み込んだツアーも増えています。特に白川郷や高山といった「日本らしい景観」を楽しめるエリアは、SNSとの相性も良く、人気が高まっています。定番ルートに変化をつけたい旅行者やリピーター層に向けた商品として位置付けられています。
例:桜鑑賞の旅(大阪ー京都ー白川郷ー松本ー東京)
1日目
深夜便にて関西国際空港へ
2日目
午前7時 到着
バスに乗車後、大阪箕面勝尾寺にて桜鑑賞
京都へ向かい、二条城・伏見稲荷大社
滋賀にて天台宗 釈迦山 百済寺を訪問した後、岐阜へ
岐阜泊
3日目
白川郷へ
飛騨高山旧市街散策・桜鑑賞
岐阜泊
4日目
長野・松本城 桜鑑賞
山梨 富士山へ
天候が良ければ富士山5合目へ・山中湖
時間があれば御殿場アウトレットでショッピング
山梨泊
5日目
忍野八海を訪れた後、東京へ
浅草寺・東京スカイツリー(外観のみ)
自由行動
東京泊
6日目
皇居を訪れた後、お台場にて自由行動
成田空港へ 夕方の便にて帰国
ビザ申請代など含む、合計3900万VND (約24万円/大人 1人)。
人気急上昇 北海道
北海道は、雪景色や自然体験といった非日常性の高い観光資源を持つエリアとして、人気が高まっています。特に冬季の需要が強く、東南アジアでは体験できない「雪」という要素が、大きな訴求ポイントとなっています。
例:2025年 冬のホワイトイルミネーションツアー(札幌ー登別ー小樽)
1日目
深夜便にて羽田空港へ
2日目
午前7時 到着
札幌行き飛行機へ乗り換え到着後
洞爺湖・登別へ
3日目
札幌へ
白い恋人工場・札幌テレビ塔・大通公園のイルミネーション
4日目
Alpen SNOWLAND BIBAIにて雪遊び
美瑛の青い池 白髭の滝を訪れる
5日目
小樽へ
小樽運河・北一硝子・オルゴール博物館
狸小路や三井アウトレットでショッピング
6日目
空港へ移動し、羽田経由で帰国
ビザ申請代など含む、合計5000万VND (約30万円/大人 1人)。
今後、注目される東北地方と九州・沖縄地方
東北エリアでは東京、九州エリアでは福岡を起点としたアクセスの良さに加え、浴衣を着て楽しむ温泉体験や、地域ならではの美しい自然風景・ご当地グルメなど、日本ならではの体験価値も徐々に評価され始めています。現時点では主流の訪問先には至っていないものの、今後の情報発信や商品造成によって大きな伸びが期待できるエリアといえます。
なぜこれらのエリアが選ばれるのか
これらのエリアが選ばれる背景には、いくつかの共通した要因があります。まず、SNSやメディアでの露出による高い認知度が挙げられます。特に富士山や京都といった象徴的な観光地は、訪日旅行の“必須要素”として認識されています。また、空港アクセスや移動のしやすさも重要な要素です。効率よく複数都市を回れるルートは、ツアー造成においても優位性があります。さらに、「日本らしさ」を体験できるかどうかも大きなポイントです。伝統的な街並みや四季の風景といった要素が評価されています。
まだ訪問されていないエリアの可能性
現在、多くのツアーはゴールデンルートおよびその周辺エリアに集中しています。そのため、地方エリアへの訪問はまだ限定的な状況です。一方で、ベトナム市場は訪日未経験者が多く、今後のプロモーション次第で新たな訪問先として認知を広げる余地があります。特に、「日本らしい体験」や「独自性のある観光資源」を持つ地域にとっては、新規市場として参入できる可能性があります。
ベトナム市場で選ばれるためのポイント
ベトナム市場において訪問先として選ばれるためには、いくつかのポイントがあります。まず、旅行会社のツアーに組み込まれることが重要です。そのためには、現地旅行会社との接点づくりが欠かせません。加えて、メディアやSNSを通じた認知拡大も重要な要素となります。旅行者が事前に情報に触れているかどうかが、訪問意欲に大きく影響します。単発の情報発信ではなく、複数のチャネルを組み合わせた継続的なプロモーションが求められます。
まとめ
ベトナム人観光客の訪問先は、現時点ではゴールデンルートを中心とした限られたエリアに集中しています。しかし、市場自体は拡大を続けており、今後は新たな訪問先のニーズも高まっていくと考えられます。そのため、今の段階から適切な情報発信と接点づくりを行うことで、将来的な訪問先として選ばれる可能性を高めることができます。ベトナム市場においては、旅行会社・メディア・インフルエンサーといった複数の接点を通じた情報設計が重要となります。当社では、現地ネットワークを活用し、観光地の認知拡大にも対応しております。ベトナム市場への展開をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
参照:サイゴンツーリスト

