はじめに
ベトナムは近年、急速な経済成長とともに生活水準の向上が見られ、ペット市場もその恩恵を受けています。特に、ペットフード市場は大きな成長を遂げており、メーカーやビジネスマンにとって重要な商機となっています。今回は、ベトナムのペットフード市場をよりビジネス目線で解説してゆきたいと思います。前コラム、「ベトナムのペット事情とベトナム原産犬」も参考にご覧ください。
現在、世界のペット産業は18〜20%の驚異的な複合成長率で成長しているといいます。2022年には、家庭用ペット向けの消費財市場の総価値は2,610億ドルに達しました。この数字は2027年までに3,500億ドルを超えると見込まれており、その成長率を担うのがアジア太平洋地域となります。現在は米国、ブラジル、日本が世界で最大のペット産業を持つ国とされています。
ベトナムのペットフード市場の現状
2024年3月27日から29日までホーチミン市のサイゴン展示会議センター(SECC)で「Petfair Vietnam 2024」が開催されました。特別ブースを展開した韓国・中国 その他にも、タイ・米国・カンボジア・インドネシア・シンガポール・日本などから約200のブランドが集まり多くの人が国内外から訪れました。このイベントの記者会見によると、2016年から2021年の間にベトナムでのペットの数は2,100万から2,700万に増加。犬と猫に関しては現在約1,180万匹が飼育されており、この数は2027年までに1,600万匹に増加すると予想されています。ペットオーナーの急速な増加に伴い、獣医薬品市場も急速に成長しており、過去5年間は常に二桁成長を遂げ、特に2022年には成長率が38%に達しました。このような背景から、「Petfair Vietnam 2024」の開催は、ベトナムのペット産業にとって大きな意味を持つ事となり、企業がパートナーを見つけ、ベトナムのペット産業を発展させるための重要な架け橋となり、また、展示会の枠組みの中では専門セミナー・トレーニングコース・ペットショー・ペットケアスキル競技会などの多様なイベントも開催されるなど、展示会に参加する企業はディーラーチャンネルを拡大し、自社のイメージを促進する機会を得ることができました。尚、来年度「Petfair Vietnam 2025」の開催も6月25〜27日で決定しています。
流通チャネルの多様化
ペットを家族の一員として扱う風潮が強まり、ペットフードの品質に対する消費者の期待が高まっています。このトレンドは、特にホーチミン市やハノイ。ハイフォン・カントー・ダナンのような二次的都市中心部の若年層のペットオーナーの間で顕著となっており、そのような消費者をターゲットとした流通チャネルは多様化しています。
ペット用品専門店
高品質なグローバルブランドを提供し、消費者の信頼を得ています。都市部を中心に展開。
スーパーマーケット
手軽に購入できるため、多くの消費者に利用されています。ただ、種類は限られており、日本のスーパーと比べてみると、品数は少ない印象を受けます。
オンラインチャネル
利便性と広範な選択肢を提供し、特に若年層の消費者に人気です。オンラインショッピングの普及が、ペットフード市場の成長を支えています。
主要プレーヤー
ベトナムのペットフード市場は、世界のトッププレーヤーと地元プレーヤーと激しい競争を繰り広げています。各社は、独自の強みを活かし、差別化された製品とサービスを提供しています。現在は中程度に統合されており、上位5社が61.44%の売り上げを占めています。
ADM(Archer Daniels Midland Company)
商品名:Ganador・Minino
人間と動物両方の栄養を専門とする世界最大のアメリカの穀物メジャーの一つ。ベトナムでさまざまな製品を提供しており、ホーチミン市にも支社があります。
CP(Charoen Pokphand Group)
商品名:SmartHeart・CP・Me-O
主に畜産やペットの飼育のための食品加工を専門とするタイの大手企業。1988年にベトナムへの投資を開始し、現在までにベトナム全土に90以上の支店を展開しています。
ドギーマンハヤシ株式会社(Doggyman H.A.Co.,Ltd.)
商品名:Chewell・ごほうびセレクト など
現在、ベトナムのペット用品業界で最も人気のある企業の一つ。噛める犬用おやつやチップスなど、さまざまなペット用品を提供する日本のペットフード製造会社。2015 年からホーチミンにオフィスを構えています。
Mars Incorporated
商品名:Pedigree・Royal Canin
米国の大手ペットフード会社。マース インコーポレーテッドの子会社であるマース ペットケアは、Pedigree・Kal Kan (Whiskas)・Royal Canin・Temptationsなど、有名な国際ブランドをいくつか販売。
Nestle (Purina)
商品:ピュリナペットケアはネスレグループの一員で、高級ペットフード製品「Purina Pro Plan」を提供。可処分所得の増加と高級製品への愛着を背景に、ベトナムのペットを飼っている消費者層の間でますます人気が高まっています。
成長するベトナムのペット関連商品輸出市場
ベトナムのペット関連製品(リード・アクセサリー・服など)の製造業界も急速に成長しており、輸出と国内市場の双方で力をつけています。国際貿易センターによると、ベトナムからのペット用品の主要輸入国は米国、中国、カンボジアで、特に米国が大きなシェアを持っています。この地域では、安価な商品が豊富に流通しており、競争が激しい状況です。そのような中、アメリカや日本などの外国企業はベトナムの現地OEM企業と契約を結び、ベトナムでペット製品を製造。これらの製品はすべてベトナム国外に出荷され、販売されています。さらに、米国飼料産業協会(AFIA)は、中国との貿易関係を改善するために取り組む一方で、ベトナム市場での機会を追求すると言及しており、これにより、米国のペット関連業界は海外市場での競争力と市場アクセスを強化する動きが出てくるのではないかと予想されています。尚、ベトナムのペット製品メーカーとしては、Kim Binh Minh Co.Ltd.・Tran Danh Co., Ltd.などが注目されており、国内外市場でのリーダーとして活躍しています。
ペット専門店の役割
ベトナムのペット関連市場では、専門店が重要な役割を果たしています。特に都市部において、30代以上の中流家庭がペットフードやペットサービスの主要な購買層となっています。しかし、ペット専門店は高いリース料や、サプライチェーンの問題といった課題もある一方で、ペットを愛する若い起業家たちが新たなペットケア製品やサービスを提供する現代的な店舗を設立し、市場の成長を促しています。これにより、市場は引き続き拡大し、消費者の多様なニーズに応えるための革新が進んでいます。このように、ベトナムのペット製品市場は、消費者の購買力と起業家の創意工夫が相互に作用しながら成長を続けています。
まとめ
ベトナムのペット関連市場は、今後も大きな成長が期待される分野です。消費者のニーズに応えるためには、高品質な製品の提供と効果的な流通チャネルの構築が不可欠です。特に輸出市場の拡大は、ベトナム製品の国際的な競争力を高める重要な要素となっています。これらの要素を総合的に考慮し、戦略的な市場参入を図ることが求められてます。
TRY VIETNAMでは、ベトナムのデジタルマーケティングのトレンドやツールを効果的に活用することが可能です。ベトナムの市場に参入する際の戦略や、ターゲット層に向けての情報発信など、ベトナムに関するあらゆるビジネスニーズに対応しております。お気軽にご相談ください。
参考:
Vietnam Briefing – Vietnam’s Pet Food Market for US Firms
Mordor Intelligence – Vietnam Pet Food Market SIZE & SHARE ANALYSIS
Hội Tim mạch học Việt Nam – Khai mạc PetFair Vietnam 2024