ベトナムは近年、急速な経済成長を遂げ、その影響で生活費や不動産市場も大きく変動しています。特に2024年には、物価や賃貸料金の動向がビジネスパーソンや投資家にとって重要な関心事となっています。本ブログでは、最新の物価調査を基に、日用品や食料品の価格動向、主要都市におけるオフィススペースやマンションの賃貸料金について詳しく解説します。ベトナム経済の現状と未来を見据え、ビジネス戦略にも役立つ情報としてご覧ください。
ベトナムの経済状況
ベトナムは、近年の急速な経済成長により、ASEAN地域の経済大国の一つとして台頭しています。2023年には、GDP成長率が6.5%を記録し、外国直接投資(FDI)が増加しています。特に製造業やIT産業が成長の牽引役となっており、多国籍企業がベトナムに進出しています。また、新型コロナウイルス感染症の影響からも順調に回復しており、観光業やサービス業も再び活気を取り戻しています。
ベトナムの物価指数の推移
ベトナムの物価指数(CPI)は、過去5年間で安定的に上昇してきました。2023年には、インフレ率が3.5%に達し、主に食料品と住宅費が物価上昇の要因となりました。2024年には、さらなる経済成長とともに、物価指数が引き続き上昇すると予測されています。これにより、消費者の購買力に影響を与えるとともに、ビジネスのコスト構造にも変化が生じる可能性があります。
食料品の物価調査
ベトナムでは、食料品の価格も地域によって異なります。ホーチミン市やハノイなどの主要都市では、輸入品の需要が高く、生鮮食品や加工食品の価格が上昇しています。例えば、牛肉や鶏肉などの肉類は、前年に比べて約8%の価格上昇が見られます。これに対して、地元で生産される野菜や果物の価格は比較的安定しています。詳しくは前回の「2024年ベトナムの物価調査 | 食料・日用品」をご覧ください。
2024年 ベトナム オフィススペース 賃料
ベトナムの主要都市、特にホーチミン市やハノイでは、オフィススペースの需要が増加し、賃貸料金が上昇しています。2024年の調査によれば、ホーチミン市の中心部のハイクラスなオフィスビルでは、1平方メートルあたりの賃貸料金が年間約500ドルに達しています。この上昇トレンドは、経済成長とオフィス需要の増加に起因しており、過去数年間安定的に続いています。また、コワーキングスペースの利用が急増しており、特に若い起業家やフリーランサーに人気があります。これにより、従来のオフィススペース市場にも影響が及び、賃貸料金の競争が激化しています。
グレードAのオフィス価格
金融中心地に位置し、銀行やカフェ、コンビニ、レストランへのアクセスが良好で、郊外へのアクセスも優れています。また、駐車場などの施設や防災・セキュリティシステムも国際基準を満たしており、賃料は管理費込みで45USD〜55USD/㎡(約7,000円〜8,500円/㎡)。
グレードBのオフィス価格
中心部から少し離れているか、中心部でも築年数が経過していたり、セキュリティや設備がグレードAと比べて劣ります。賃料は管理費込みで30USD〜40USD/㎡(約4,600円〜6,200円/㎡)。
グレードCのオフィス価格
中心部から離れた場所にありますが、急成長しているエリアが多い。車の駐車スペースが無いなど、施設やセキュリティ面で劣る部分があります。賃料は管理費込みで20USD〜30USD/㎡(約3,100円〜4,600円/㎡)。
コワーキングスペース
中心地から少し離れているものの、高速WiFi、会議室、プリンター機器、個人ブースなどの施設が整っており、お洒落で綺麗な建物が多い。イベントの開催により利用者のコネクションを繋ぐ役割も果たしている。利用料金は1日あたり150,000VND〜200,000VND(約910円〜1,220円)、1年契約では2,000,000VND(約12,000円)前後の施設が多い。
2024年 ベトナム マンション 賃貸
ベトナムの居住用不動産市場は、急速な都市化と経済成長の推進により、活気づいています。特にホーチミン市やハノイでは、高級マンションの需要が高まり、それに伴い賃貸料金も上昇しています。2024年には、マンションの賃貸料金が前年比で約10%上昇する見込みです。
この市場では、高級マンションと中級マンションの間で賃貸料金の差が顕著です。ホーチミン市やハノイの中心部に位置する高級マンションは、ジムやプールなど充実した設備や利便性の高い立地を誇り、月額賃貸料金が2,000ドル以上という高額なものが一般的です。一方、中級マンションは価格が手頃で、月額賃貸料金が1,000ドル以下の物件も多く見られます。
また、新規のマンションプロジェクトが相次いで進行しており、選択肢は多くなってきています。特に外国人向けの高級マンションプロジェクトが増加しており、これが市場全体の賃貸料金に影響を与えています。さらに、新規プロジェクトの競争により、既存の物件の賃貸料金にも調整が見られる傾向です。
ベトナムの賃貸住宅には大きく分けて「コンドミニアム」と「サービスアパートメント」2種類があります。
サービスアパートメント
建物全体を同じオーナーが管理し、家具完備。物件によりますが、水道光熱費・インターネット・メイドによる清掃サービスが賃料に含まれています。高級アパートメントにもこのタイプが多く、貸主は法人で、メンテナンスやレセプションサービスが充実していて英語が通じ、セキュリティーも強化されており賃貸の相場は月2,000USD〜5,000USD(約310,000円〜770,000円)となります。又、小型のタイプやローカルアパートも数多くあり、貸主が個人で管理し、相場は月300USD〜1,500USD(約46,000円〜230,000円)となります。
コンドミニアム
マンションの1室を賃貸として借りるので、日本の分譲マンションのように各部屋でオーナーが異なります。家具や家電は用意されており、ジム・プール付きのタワーマンションである事がほとんどです。月額700USD(約100,000円)〜の部屋が多く、外国人も多く住んでいるので英語が通じる所が多いです。
まとめ
2024年のベトナムにおける日用品や食料品、オフィススペース、マンションの賃貸料金がいずれも上昇傾向にあります。経済成長とともに需要が増加する一方で、輸入コストやインフラ整備、労働市場の変動などが価格上昇の要因となっています。
物価上昇に対して、ベトナム政府や企業は様々な対策を講じていますが、経済成長がハイスピードで進むベトナムでは、物価安定のバランスが日本と比べるとかなり違うなと感じる面も多く、ベトナム進出の際には日本と同じ感覚だと難しいことも多々あり、しっかりと現地を理解した計画を策定することが重要です。
マーケティング戦略も同様で日本とは異なった文化・価格感での実施となります。テストマーケティングではそのような物価感を実際のバイヤーとも会話しながら進めることができるため第一歩としては非常に重要となります。
次回は引き続き、物価調査・交通費、外食価格、ビジネス関連の娯楽編をお送りさせていただきます。
参考:VIETNAM HOUSE
*価格は全て1,000ドン=6.14円 / 1USD=155円(2024年6月現在)