ベトナムは、アジアで急速に成長する経済環境を持つ国として注目されています。その結果、多くの企業が進出を検討していますが、ビジネスを始める前にベトナムの消費者物価レベルを理解することは重要で、予算の立て方やビジネス戦略の決定に大きく影響を与える要素となります。この記事では、都市部・ホーチミンに重点を置き、数回に分けてスーパーマーケット価格や、オフィススペース・マンションの賃貸料金、交通費、外食価格、ビジネス関連の娯楽などに焦点を当て詳しく紹介してゆきます。ベトナムのビジネス環境は急速に変化しており、物価もこれに合わせて大きく変動している最中ですが、この記事を通じて、2024年時点での状況をお伝えできればと思います。
ベトナム物価指数の推移
過去数年間、ベトナムの物価は緩やかな上昇傾向にありました。インフレ率は毎年数パーセント程度で推移し、主な要因には需要の増加、経済成長、賃金上昇、外部要因(例:原油価格の変動)、政府の政策(例:貨幣供給量の調整)などが挙げられています。しかし、コロナ禍以降のベトナムにおける物価指数の推移は、複雑な要因が絡み合いながら変化していました。急激な需要減少や供給チェーンの混乱が生じ、特に一部の商品やサービスの価格に影響が現れた一方で、政府の経済政策や財政政策の導入により、物価の上昇を抑制しようとする取り組みも行われました。これにより、インフレ率は一定期間にわたって比較的安定した水準に保たれましたが、一部の部門や地域では物価の上昇が見られました。経済の回復が進むにつれて、需要が回復し、供給チェーンの安定化により、物価の上昇も緩やかになってきていますが、需要や供給の変化に適応するために注視しておく事が必要です。
2024年 ベトナム食料品価格
ベトナムの食料品価格は、都市によって異なりますが、ホーチミン市やハノイなどの主要都市では、比較的高い傾向があります。これは、輸入コストの増加や国内の物流費用の上昇が主な要因とされています。又、地域によって日用品の価格差が存在します。ホーチミン市では、都市の規模や生活水準の高さから、他の地域に比べて価格が高くなる傾向があります。一方で、地方都市や農村部では、同じ商品でも価格が低く抑えられています。これは、流通コストや地元生産の影響を受けているためです。
それでは、実際に生活必需品の価格を見てゆきましょう。場所はホーチミン市内中心部、ベトナム全土に圧倒的店舗数で展開するチェーンスーパー「WinMart」となります。もちろん、市内にも数カ所昔ながらの大きな市場や個人商店が存在し、特に市場では交渉次第で比較的安くなるのですが、今回はベトナム人や在ベトナム外国人を含め、より多くの人が利用するスーパーに焦点をあててゆきます。
ブランドで多少前後しますがコンビニでもミネラルウォーターはだいたい500mlで約6,000VND (36円) 1.5ℓで約12,000VND (73円)。コーラ・ファンタなどの炭酸飲料も500ml前後のペットボトルで約12,000VND(73円)。牛乳はロングライフ牛乳(生乳も容器も滅菌し、無菌状態を保ち製造しているため未開封の場合は常温での長期保存が可能)が主流でいちご味やチョコレート味・微糖・加糖など様々な種類が販売されており、価格は1ℓ約35,000VND (214円)オーストラリアやフランスからの輸入品も多く45,000VND (276円)ほどで販売されています。尚、冷蔵牛乳は47,000VND(288円)。ローカルブランドのヨーグルトは500gで41,800VND(256円)、最近よく見かける写真左の輸入ギリシャヨーグルトは500gで152,000VND(932円)となります。
肉・魚類については、鶏ささみ500gで約50,000VND (306円)・豚バラかたまり300g 86,000VND(527円)・豚ミンチ300g 65,000VND(398円)・牛肉はほとんどが輸入品になりますが、薄切り500g 160,000VND(981円)・白身魚200g 50,000VND-70,000VND(306円-429円)。ただ、私たちの食べ慣れた日本の畜産・魚介類のクオリティーは確実に世界中でもトップレベルに位置しており、かなり物足りなさを感じるかもしれません。その場合は専門店で購入しますが、少し割高になるくらいでしょうか。
野菜・果物に関してはどこのスーパーも量り売りが基本となります。例えば、小松菜500gが最小パックで13,000VND(79円)・白菜1Kg 26,500VND(162円)・きのこ詰め合わせ300g 33,000VND(202円)・マンゴー1kg 42,000VND(257円) ・カットフルーツの盛り合わせ 15,000VND(92円)などなど、日本と比べるとかなりお得に感じるかと思います。ベトナムにはフルーツを日常的に食べる人が多く、こちらも海外からの輸入商品があり、日本のふじりんごが3つパックで339,000VND(2080円)で販売されていました。また、コロナ禍以降は健康意識が強くなったのもあり、割高にはなりますがオーガニック商品もよくみられます。
気軽に食べれる即席麺。世界ラーメン協会(WINA)によると、ベトナム人は一人当たりの換算で即席麺を年間85回消費しており、消費量は中国とインドネシアに次いで3位ですが、個人が年間消費する回数では世界一となっています。ベトナムにて圧倒的知名度を誇るAcecook社の「ハオハオ(Hảo Hảo)」は1つ5,000VND(30円)前後。ベトナム企業Masan社の主力商品は「Omachi」。味や具、麺の種類など商品展開数が多いので値段は幅広いですが、大体1つ10,000VND〜20,000VND(61円〜122円)ほど。その他では、日本のNISSINカップヌードルは14,000VND(85円)、韓国ラーメンは1つ35,000VND (214円)前後と少し高くなるのですが、大人気です。
お米は炊いて食べるだけでなく、麺類フォーやブンの原材料となっておりベトナムにとって重要な穀物となります。ベトナム米にもグレードがあり、だいたい5kgで150〜200VND (920〜1,227円)、それ以上の物も多く存在します。また、日本食材専門店に行けば、日本からの輸入米も購入できますし、日本から輸入したお米を管理、発送直前にホーチミン市内の自社精米所にて精米し、配達していただけるサービスもあります。日本米専門店・三代目俵屋 玄兵衛
2024年 ベトナム日用消耗品価格
次にご紹介するのは、日々生活していくために必要ですが地味に生活費にひびいてくる日用品。値段が日本と変わらないもあれば、安い物もあります。トイレットペーパーはシングルから4枚重ねまで、内容量もばらつきがあるのですが、だいたい10ロール入りで100,000〜150,000VND (613〜920円)。 ティッシュは1つ15,000〜25,000VND(92〜153円)ですが、2つ買えば1つおまけなど割引対象となっているのをよく見かけます。シャンプー・リンスは大容量(640ml)での販売が主となっており155,000VND (951円)から。最近は韓国やアメリカからの輸入品も多くみかけるようになり、だいたい2倍くらいの値段となっています。ボディソープも大容量720ml前後で150,000VND(920円)から。日本のファイントゥデイ商品「SENKAシリーズ」も、洗顔料や日焼け止めを含めて人気があります。
男性用カミソリはパック売りでだいたい30,000VND(184円)前後から。日本と同じく海外製品が多く、そこまで日本とは大きな金額の差ではないかと思いますが、替刃よりも使い捨てで本体が売られている方が多く、日本の低価格ドラッグストアにでも置いているような少し高級レベルの製品は少ない印象です。生理用品は花王の「ロリエ」やユニ・チャームのベトナムブランド「Diana」に加えて「ソフィー」など日本でもお馴染みの商品がコンビニなどでも販売されており、20枚で50,000VND(307円)前後と購入はしやすいのですが、こちらも日本と比べるとサイズなどの種類が少なくなります。カミソリや生理用品のような世界中で使われる生活必需製品は世界中どこでも価格としては安定しているように感じますが、選択肢は少なくなる傾向にあります。
まとめ
おおまかにはなりますが、食料品と日用品の価格をご紹介させていただきました。10年前と比べると物価が上がっているのに加え、円安の影響もあり「想像していたより安くない」という声を旅行者・出張者の方からよく聞くようになりました。繰り返しにはなりますが、このブログで紹介している価格は都市部ホーチミンの中心地の価格となります。ベトナムでは都市と地方の差が非常に顕著なため、全国どこでも同じ価格で安定した商品供給のある日本の感覚とはかなり異なります。
このような価格帯で生活しているホーチミン市の市民はもちろん給料も年々上がり続けており、今後もますます物価向上が考えられます。ビジネスを展開する上では速さが重要と昨今よく言われていますが、PR会社として様々な企業とお仕事をさせていただくことの多い背景から、ベトナムをはじめとした海外進出ではまさにこの部分が勝負の分け目となると感じています。
このような生活必需品のマーケティングはベトナムにおいては単純にディスカウントやおまけをすることが重要と長年言われてきております。基本的には同意見ではありつつも、このように日々新たな海外製品が低価格で安定して入ってくるようになってきている背景から、小売店としては棚から外す判断も非常に早く、日本企業製品が他国製品に負けることも少なくありません。こう言った背景から消費財であってもしっかりとしたブランディングを行い、各ステークホルダーに対してPRを行なっていくことは今後ますます重要になっていくと考えられます。アジアNo.1のPR会社ベクトルにぜひお問い合わせください。
次回は引き続き、物価調査・オフィススペース・マンションの賃貸料金編をお送りさせていただきます。
*価格は全て1,000ドン=6.14円(2024年6月現在)